海外研修・留学 > メディカル・キャリア体験プログラム >第7回 メディカル・キャリア体験プログラム実施レポート

メディカル・キャリア体験プログラム 実施レポート

日本人学生に開かれた米国最先端医療現場での唯一のインターンシップ・プログラムをレクサス教育センターが主催
シャーマン博士とこずえさん、なおさん。

シャーマン博士とこずえさん、なおさん。

2007年にスタートしたメディカル・キャリア体験プログラムは、今年創設6年目を迎えた。米国ニューヨークにあるマウント・サイナイ医科大学センター・フォー・エクセレンス・イン・ユース・エデユケーションとレクサス教育センターが、2007年に技能連携協定を結んで以来、6回の研修を実施してきた。これまでに、医学部生、高校生・高卒生、中学生など、さまざまな学生・生徒に研修を体験してもらった。参加者からは、米国最先端の医療現場におけるインターンシップという他に類を見ない研修であるとの評価を頂いている。また現役医学部生の参加者は、医学部に在籍していても簡単にすることができない希少価値の高い研修であると絶賛している。

今春も、創設以来通算7回目の研修を実施した。今回は、今年4月に医学部入学を果たしたレクサス教育センター卒業生2名が参加した。東京女子医大に入学したなおさんと、杏林大学医学部に入学したこずえさんである。医療分野でのキャリアを目指す、より多くの学生・生徒に本研修プログラムを体験してもらうべく、彼女たちの体験レポートをここに紹介する。参考にして、今後の研修参加をご検討頂きたい。

今春医学部合格を果たしたレクサス生のなおさん、こずえさんがNY研修に参加

インタビュアー:
まずお二人の医学部入学に、お祝いを申し述べたいと思います。ご入学、おめでとうございます。

なおさん、こずえさん
ありがとうございます。

インタビュアー:
お二人とは、私が面接指導を担当した経緯などもあり、是非合格してほしいと願っていましたが、一方で、お二人は余裕で合格するに違いないと、実は安心しきっていました。事実、複数の大学から合格を勝ち取り、志望校への入学が決まりました。

なおさん
余裕ではなかったと思いますが。でもレクサスを選んで、1年間がんばってきた成果だと思います。

インタビュアー:
そういって頂けると、本当にうれしいです。ありがとうございます。
さて今回は、入学式前の春休みに企画されたニューヨーク研修にご参加頂きました。 そこで今日は、研修での体験談を伺おうと思い、お越し頂きました。

なおさん、こずえさん
よろしくお願いします

牛の心臓で解剖実験を行う。

牛の心臓で解剖実験を行う。

インタビュアー:
初日は、ニューヨークの女子高校生ステラさんといっしょに、癌病棟での研修でした。どんな発見がありましたか。

なおさん
 ステラさんは、在籍する高校での授業が終わった後の放課後の時間を使い、週2回マウント・サイナイのメディカル・センターでインターンシップをしています。主な仕事は、この癌病棟の5階にいる患者さんの飲み水をチェックし交換することでした。彼女は、その仕事を事務的にするのではなく、患者さんの体調や様子を伺うことから始め、コミュケーションをとる気配りを常にしていました。そしてその際、他に何か必要なものを告げられた時は、言われたことをひとつ一つメモしていました。患者さん一人ひとりと丁寧に接していて、人の役に立ちたいという気持ちが、強く伝わってきました。

  そうした彼女の人柄や思いが伝わっているのか、病棟担当の医師や看護師、スタッフの方々とも仲良く会話をしていて、本当にスタッフの一人として受け入れられている様子が良く分かりました。それから、高校生をこうした形で受け入れる病院の姿勢もすごいなと思いました。

病棟での研修に参加したなおさんとステラさん。

病棟での研修に参加したなおさんとステラさん。

こずえさん
 私が一番驚いたことは、高校生であるステラさんが慣れた手つきで、病室内での自分の仕事をこなしていたことでした。そしてそれを、楽しそうにやっていたことが、とても印象的でした。仕事の内容はなおさんがお話された通りで、病室内のお水を交換したり、必要なものがあれば、それを届けたりという仕事で、私たちにもすぐお手伝いできるようなことでしたが、中にはとても辛そうにしている患者さんもいて、そうした姿を見ること事態、決して楽な事ではありません。でもステラさんは、人のために働くことに対して、本当に喜びを感じているようでした。彼女のボランティア活動への意識の高さを感じました。同時に、日本の医療現場におけるボランティア活動の貧弱さを痛感しました。

3つの異なる手術に立ち会う機会に恵まれたふたり
手術中の光景。なおさんが撮影。

手術中の光景。なおさんが撮影。

インタビュアー:
そうですね。高校生を長期間に渡り受け入れ、インターンシップや研修を行っているという日本の病院の話は、ほとんど耳にしないですね。受け入れる側の懐の深さを感じますね。2日目は、OR(手術室)での研修がありました。女子高生モ二カさんとペアになりましたね。彼女といっしょに、そこで何を見たのですか。

なおさん
 手術室で、比較的簡単な手術を2件、それから途中退出してしまいましたが、手首の骨折の手術1件に立ち会いました。最初の2件がどのような手術なのか分からなかったため、モニカさんに聞きました。そうしたら、「tendinitis」だと教えてもらったのですが、手持ちの電子辞書には載っておらず、手術後に調べてやっと理解することができました。2件とも腱鞘炎の手術でした。

  1件目は、手の平を切開して白い脂肪の塊のようなものを取り出していました。2件目は手の平2箇所に穴を開け、内視鏡を挿入。モニターで確認しながら、メスで腱鞘を割いていました。いずれも患者さんの手、指がスムーズに動くことを確認した上で、切開した場所を縫い合わせ、包帯を巻いて終了しました。
 3件目は途中退出したため、詳細は分かりませんでしたが、50〜60代と思われるベテラン医師が、20〜30代と思われる女性医師に、切開のポイントを指導していたのが印象的でした。

手術室での研修をともにしたモニカさんと。

手術室での研修をともにしたモニカさんと。

こずえさん
 1件目の腱鞘炎の手術は、腫瘍が原因で腱鞘炎になった患者さんの手術であったことがわかりました。指の付け根を切開し、それから腱鞘を縦に切っていました。そして炎症が起きたことで腱鞘にできてしまった腫瘍を取り除いていました。そして腱を実際に引っ張ることで、指が動くかどうかの確認をしていました。
 2件目は、膿が溜まったことで指が動かなくなった患者さんの手術でした。指の付け根を切開して、そこから腱鞘へ管を差込み、内視鏡を入れて腱鞘内の膿をかき出すというものでした。
 どちらの手術も想像以上に時間がかからなかったこと、そして手術室内が和やかな雰囲気に包まれていたことが、とても印象的でした。

インタビュアー:
手術に立ち会うことが出来て、お二人ともラッキーでしたね。初日、二日目と、病院内研修以外に地元高校生の授業と実験に参加しました。どんな高校生でしたか。

なおさん
 今回の研修でめぐり合った高校生のほぼ全員が、明確な将来の目標を持っていました。そしてその多くの生徒の目標が、医師になるというものでした。彼らは目標設定がしっかりしているためか、授業中とても積極的でした。疑問や意見があれば、どんどん手を挙げて発言していました。私がもっとも驚いたのは、彼らは皆発言する際に、自分が述べたことの根拠、理由をかならず説明していたことでした。我々日本人がよく使う「何となく」という概念は、持ち合わせていないように見受けられました。

こずえさん
 海外の高校生と接するということは、私にとって初めての経験だったので、新鮮なことばかりでした。最も印象的だったことは、なおさんと同じで、ニューヨークの高校生たちは授業中皆とても積極的だったという点です。授業中先生が説明している間も、疑問点や分からないことがあると、躊躇うことなく手を挙げて質問していました。

実験中のニューヨークの高校生たち。

実験中のニューヨークの高校生たち。

  DNAの電気泳動の実験にも参加したのですが、先生が実験結果の予測について質問しました。そこでも、ほとんどの生徒が手を挙げて発言していました。その中には答えが間違っているものもありましたが、彼らは間違えることを恐れず、自分の考えやその根拠を説明したり、話あったりしていました。
 私も含め日本では、自分の答えに自信がないと手を挙げることすらしない人が多いので、こうした積極的な姿勢は非常に印象的で、私たちは見習わなければいけないと思いました。
 それから彼らは、授業時間中とそれ以外の時間の使い方にメリハリをつけているということも印象的でした。授業中は、自ら学ぼうとする姿勢が私たちにも伝わってくる一方、休み時間などはとても明るく、好きな映画やスポーツの話で盛り上がり、彼らといっしょに楽しむことができました。

今後の医療のあり方を考える

インタビュー:
本当にそうですね。ですからレクサス教育センターは、もっともっと多くの日本の高校生に刺激を受けてもらおうと、この企画を続けている訳です。最後の質問になりますが、研修中ディレクターのシャーマン博士から、アメリカの医療事情について何度か説明を受けました。何か記憶に残っていることはありますか。

一緒に研修を受けたニューヨークの高校生たちと。

一緒に研修を受けたニューヨークの高校生たちと。

なおさん
 シャーマン博士のお話の中に、アメリカで最も多い死亡原因は、心疾患であるとの説明がありました。私たち日本人も、食生活の欧米化に伴い、同様の道を辿ることが懸念されます。博士の「今とても元気な人や、定期的に健康診断を受け全く異常がないと診断されている人にも、ある日突然起こってしまうものである」というお話にショックを受けました。そしてさらにショックだったことは、その原因が未だ解明されていない、ということでした。
 自分自身や大切な家族に、いつ起こるかわからない。もっともっと多くの研究がこの病気について行われ、原因を突き止めていく必要性を感じました。これから医学部で学んでいく中で、追求してみたい私のテーマの一つになりました。

こずえさん
 博士のお話の中に、人が健康で居続けるために重要なことは、バランスの良い食事をすること、リラックスした休息の時間を持つこと、そして生きがいを感じる幸福感を持つこと。この3つではないか、という説明がありました。なおさんのお話にもありましたように、アメリカでの一番の死亡原因は心疾患。その主たる要因は、バランスの悪い食生活や、ストレスを感じるような生活習慣だそうです。こうした病気にならないためには、健康的な生活をおくることが最も重要だとおっしゃっていました。
 このお話を伺い、生活習慣病への取り組みが、医師が行う医療活動の中で重要な部分を占めるようになるということを、改めて感じ取りました。病気を治すことだけが医師の仕事ではなく、予防医療に取り組み、人々の健康的な生活を管理していくことが、重要な仕事の一つであることを痛感しました。

インタビュアー:
今回の研修参加は、いろいろなことを学ぶ機会をお二人に提供してくれたようですね。ニューヨークでの経験が、今後のキャリアの中で活かされることを願っています。本日はインタビューにご協力頂き、ありがとうございました